人間、歳を重ねると段々融通が利かなくなってくるものだ。
思考パターンが限られてきたり、
自分のやり方が固まってしまって、
たとえそれが非合理的だとわかっていても、
なかなか新しいやり方を選択肢に加えようとはしないもののようだ。
職人の世界などをみてみた場合、
ベテランになるほど動きが洗練されていて、
無駄のない効率的なやり方で一級品を作り出すのを見ると、
リスペクトせざるを得ないのだ。
老練の極みというものだ。
ところが日本の歌謡界に目を移してみると、どうだろう。
老練な技で、一級品を生み出す歌手がどれほどいるだろうか。
やっつけ仕事で及第点のうたは歌えるが、
一級品を作り出すパワーも、
魂の中の、燃えるエネルギーも、
燃え尽きたような歌手ばかりに思えるのはわたしだけだろうか。
歳を取ればある程度は仕方のないことではあるのだが。
ところがこの長谷川きよしという人。
彼の代表曲の別れのサンバ、
もう何十年歌ってきたんだろう。
下に貼る動画、比較的最近のもののようだが、
全然楽して手を抜いて感がない。
ベテランが陥りがちな、決まったパターンを踏襲して、
お茶を濁すようなところが見いだせない。
そのほうが楽なのにだ。
彼は老練さをも拒否しているかのようだ。
今でも魂が燃えているのだ、彼は。
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仙道さおりのパーカッションとギターの絡み具合がもう最高。
全体を通しての緊張感。
見る者によそ見を許さない程の訴求力をもつうただ。
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